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栃木県宇都宮市大谷町にある採石場資料館、大谷資料館を見学してきました。
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宇都宮市街地から車で県道70号線を西に15分ほど走った位置にある、宇都宮市大谷町。
松が峰教会に使われていた大谷石の採石場として知られるこの町に、1917年から1945年まで存在した航空機・エンジンメーカーの中島飛行機(現 富士重工)の地下軍需工場があるというので行ってきました。
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そして、やってきたのがこの大谷資料館。
地下神殿のような地下採石場跡を見学できる施設として、大変賑わっている施設です。
大谷資料館は、大正8年(1919)から昭和61年まで採掘が行われていた採石場跡を一般公開している地下展示施設で、広さは約20000m、深さは地下約30mで、柱を除くと東京ドームが1つ入る大きさであるとのこと。
なんとこの採石場の中に、太平洋戦争中地下軍需工場が存在していたらしいのです。
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700円の入坑料を払って地下に降りていくと、こんな感じの巨大地下空間に遭遇します。
ちなみに坑内は平均気温は8℃だそうで、入るときは入り口に置いてあるブランケットを借りていくといいと思います。
私たちが訪問した時は夏真っ盛りの時期ということもあり気温が10℃で、そこまで寒くはなかったですが。
夏休みのためか、地下へ降りていく階段は人でごった返していました。
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階段を下りて、地下軍需工場はどこだろうかと探してみると、早速左手にこのような案内板がありました。
おおっ、これだ。
太平洋戦争末期の1945年、中島飛行機は激化するアメリカ軍による日本本土空襲を避けて航空機を生産するため、この大谷採石場跡地の中に工場を移転させました。
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その地下空間。残念ながら立ち入り禁止です。
移転してきたのは、宇都宮製作所城山機体工場と武蔵製作所大谷発動機工場の二つの工場。
ここは日本軍でもっとも優秀な戦闘機として、戦争後期(1944年)の開発ながら零戦、一式戦「隼」につぐ生産量を誇った陸軍四式戦闘機「疾風」の工場であったという。
宇都宮製作所城山機体工場が「疾風」の機体・部品生産を行い、武蔵製作所大谷発動機工場が「疾風」のエンジンであったハ45・12型・18気筒エンジンの部品生産組立を行っていました。
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ちなみに大谷資料館の手前の道沿いには、かつての地下軍需工場の入り口と思われる穴がいくつか空いています。
しかし立ち入ることはできません。
見学できるのは、あくまでも大谷採石場の一部の区間のみです。
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圧倒的な地下空間の大谷採石場。
地下軍需工場は生産性がよくなかったと言われますが、ここでならば航空機の生産は可能であったのかもしれない。
当ブログでも紹介したことのある吉見百穴の地下軍需工場など、終戦の年には日本各地に空襲から逃れるため多くの地下軍需工場が造られたそうですが、宇都宮製作所城山機体工場と武蔵製作所大谷発動機工場の二つの地下軍需工場を合わせた大谷地下軍需工場は、その大きさが当時作られた各地下軍需工場の中でも最大の大きさだったという。
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大谷地下軍需工場の稼働が始まったのが1945年3月。
その間、この地下軍需工場では正規従業員、徴用工、女子挺身隊員、通年動員による男女学生、軍関係者などあわせて15000人以上が勤務していたという。
しかし稼働からわずか5か月後、大日本帝国はアメリカ合衆国以下連合国軍に無条件降伏し、軍需工場は帝国と運命を共にし閉鎖されることになります。
戦後、軍需工場の接収に来たアメリカ軍は、大谷地下軍需工場の存在を把握しておらず、そのあまりの大きさに驚愕したという。
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日本軍最強の戦闘機として「大東亜決戦機」と呼ばれた疾風を生産していた大谷地下軍需工場。
戦後のGHQによる日本の非軍事化政策により、中島飛行機は解体され、日本軍の航空機はかたっぱしから破壊されてしまいます。
それは「疾風」も例外ではなく、残らず破壊されることとなりました。
現在では、この大谷地下軍需工場で生産された一機の「疾風」だけが、鹿児島県知覧の知覧特攻平和会館にて収蔵・展示されています。
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また、当ブログではあまり取り上げませんが、大谷資料館は映画やTVドラマ、PVなどの撮影場所としてよく使われているようです。
それ以外にも、コンサートの会場や写真展の展示場など多種多様なイベントを行っているとのこと。
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こちらはコンサート会場としても利用されるという石舞台。
真ん中に立つ我ら親子と比較して、どれほど大きいかわかっていただけるでしょうか。
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こちらの通路は、実写版「るろうに剣心 京都大火変」のロケ地として利用されたらしい。
映画を見ていないのでなんとも言えませんが、どんなシーンで使われたのか気になります。
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ドンペリニヨンの新商品「P2-1998」のレセプションにも使われたという大谷資料館。
地下神殿のような巨大な地下空間が、様々な目的で利用されています。
非日常的な景色が物珍しかったのか、連れて行った娘はとても楽しそうでした。
(訪問月2015年8月)