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港区高輪にある漢方展示施設、ニホンドウ漢方ミュージアムを訪問してきました。
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港区の品川駅の高輪口から、第一京浜を泉岳寺駅方向へ300mほど歩いたところにあるニホンドウ漢方ミュージアム。
ニホンドウ漢方ミュージアムは世界初の漢方ライフスタイル提案型複合ショップという、薬膳レストランや漢方ブティック、漢方スクールなど漢方をテーマにした店舗が集うミュージアムです。
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漢方ミュージアムの中には漢方ギャラリーという、漢方薬関連の展示施設があります。
漢方ギャラリーは小さな展示場で、こちらの入場は無料。
漢方についての展示パネルや漢方薬の原料「生薬」の展示などがあり、漢方ライフスタイルというものについてざっくりと学ぶことができます。
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ギャラリー内の、「陰陽論」や「五行説」を紹介した展示パネル。
漢方は「陰陽論」「五行説」を健康維持の基本的な考え方にしています。
陰陽論は、森羅万象は「陰」と「陽」の二つの要素で成り立つという理論。
五行説は、万物は五つの要素「木」「火」「土」「金」「水」から成り立っているという理論です。
自然現象や人体の機能を、この五つの要素に分類して考えます。
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この五行説に基づき、漢方薬の原料である「生薬」の効能を木火金土水に分類した五行テーブル。
「木」は血を貯蔵し、気の流れを調整する薬。
「火」は全身に血を送り、精神活動を調整する薬。
「金」は呼吸や皮膚をつかさどり、身体を防衛する薬。
「土」は食べ物の消化吸収により、気・血・津液を生み出す薬。
「水」は生命力を蓄え、全身の水分分布を担う薬、といった具合です。
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こちらは五行説「水」に分類されている生薬「海馬」。
見た目からわかるとおりタツノオトシゴを乾燥させたものです。
漢方におけるタツノオトシゴ(海馬)は強壮薬として疲労回復、ED(勃起不能障害)や精力減退に効果があるとされ、薬膳料理でよく使われるそうです。
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漢方薬の原料「生薬」には様々なものがあります。
農作物の栽培がされていない時代には、人は自然に生えている草や実、茸、植物の根などを食べ、食しているうちに体調の変化を感じ、それがやがて薬物療法に発展していったと考えられています。
これが本草学という、漢方の薬物学です。
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左はマンネンタケ科のきのこ「霊芝」。
霊芝は疲労や神経衰弱、虚弱体質といった滋養強壮、不眠、慢性気管支炎に効果があるとされています。
右はヤマイモ又はナガイモの周皮を除いた根茎「山薬」。
山薬はでんぷん、ステロイド等を含有し強壮、強精、胃潰瘍、食欲不振、糖尿などに幅広く効果があるそうです。
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漢方薬というと植物が原料というイメージがありますが、動物や動植物が生成したもの、あるいは鉱物が該当するケースもあります。
こちらはギャラリーに展示された漢方薬の生薬「牡蠣(ぼれい)」。
ぼれいはカキの音読みで、カキの殻のことです。
カキの殻を焼成して粉砕し、粉にして漢方薬として使用します。
牡蠣(ぼれい)には精神安定や鎮静作用があり、ストレスや不安による不眠などに用いるという。
日頃ストレスに悩まされる社会人の強い味方ですな。
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変わった生薬ではこんなものもありました。
「蝉退」と呼ばれる、要するにセミの脱け殻。
蝉退には熱を冷まし、皮膚の痒みを止める効果があるそうです。
漢方の本場、中国ではスジアカクマゼミの脱け殻が使われますが、日本ではアブラゼミの脱け殻も採取されるという。
しかしこれ、本当に効果があるんでしょうか。
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漢方ギャラリーの隣にある漢方ブティックでは、こうした生薬を配合した漢方薬が販売されています。
漢方ブティックには漢方専門相談員が常駐しており、その人にあった漢方薬を提案してくれるとのことなので、興味ある方は訪問されてはいかがでしょうか。
ただ、本物の健康は薬に頼るものではなく、日頃の食事や運動、休養によって培われると、漢方ギャラリーの展示パネルにあったことを最後に書かせていただきます。
(訪問月2017年2月)