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夏の暑さが厳しいですね…
暑い夏は、火照った体を内側からひんやりとさせてくれる怪談が恋しくなります。
最近我が家では夜に「怪奇蒐集者」という怪談DVDを見ています。
さて今回は、日本の有名な怪談「四谷怪談」ゆかりの地を歩いてきました。
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現在地は都電荒川線西ヶ原四丁目停留場直近、西ヶ原四丁目停留場から新庚申塚停留場までを直線道路で結んでいるお岩通りです。
ここにはお岩通り商店会という昔ながらの商店街がありますが、シャッターが目立ち人通りはまばらで、およそ賑わいには程遠いよくある東京の商店街といった感じです。
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このお岩通りの「お岩」とは、江戸時代の怪談「四谷怪談」のヒロイン・お岩さんのことです。
お岩通りから脇道に入ると、山門脇の石柱に「お岩様の寺」と記した立派なお寺があります。
こちらは法華宗陣門流寺院・長徳山妙行寺というお寺で、このお寺がお岩通りの名前の由来になっています。
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妙行寺の山門をくぐってすぐの所に『四谷怪談お岩様の寺』と大きく刻まれた碑があります。
四谷怪談はその名の通り、現在の新宿区の四谷付近を舞台とする怪談で、西巣鴨は特に関係がありません。
しかしこの妙行寺は、かつては四谷鮫ヶ橋南町4番地にあり、明治42(1909)年5月にここ西巣鴨へ移転してきたお寺で、場所的に四谷怪談との関わりを持っています。
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山門から参道を歩いていくと、正面には妙行寺本堂が建っています。
四谷怪談のおおまかなストーリーは、ヒロインであるお岩さんが夫の伊右衛門からその存在を疎まれ、惨殺されるというもの。
そして幽霊となったお岩さんの祟りによって、伊右衛門の関係者が次々と非業の死を遂げていき、最終的に伊右衛門が死に、お岩さんの復讐が果たされるというストーリーです。
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そんな、怪談の中で殺害され神田川に流されたというお岩さんの墓が、ここ妙行寺の墓地にあるという。
本堂左手には、本堂裏の境内墓地へと繋がっている通路があります。
正面には「お岩様→」と記された標柱があり、矢印の方向の先にお岩さんのお墓があるようです。
行ってみましょう。
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妙行寺墓地の真ん中にある通路を進んでいきます。
四谷怪談は事実とフィクションが入り混ざった怪談で、怪談自体は創作の面が強いものの、お話のモデルになった岩という人物は実在したようです。
妙行寺はこの実在した岩という女性の生家であった田宮家の菩提寺であり、それゆえに「四谷怪談お岩様の寺」となっています。
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墓地内通路の突き当たりには、寺院にもかかわらず朱塗りの鳥居が建っています。
寺に鳥居とは違和感がありますが、かつて訪問した文京区向丘の海蔵寺の境内にも鳥居がありました。
昔は明治時代における神仏分離令まで、神社も寺院も同じようなものとして扱われていたようで、明治以前からある寺には鳥居があっても特段不思議ではないようです。
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鳥居の後ろには、お岩さんの墓についての説明書き(由緒)がありました。
お岩様が、夫伊右衛門との折合い悪く病身となられて、その後亡くなったのが寛永13年2月22日であり、爾来、田宮家ではいろいろと「わざわい」が続き、菩提寺妙行寺四代目日遵上人の法華経の功徳により一切の因縁が取り除かれた。
この寺も四谷にあったが、明治42年に現在地に移転した。
お岩様に塔婆を捧げ、熱心に祈れば必ず願い事が成就すると多くの信者の語るところである

と記載されています。
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由緒書きによると、実在のお岩さんもやはり夫の伊右衛門と仲が悪くなり、亡くなってから家にわざわいが起きたらしい。
しかし供養された後は、お岩様に熱心に祈れば願いが叶うと書かれており、なんだか怪談の幽霊というよりは、ありがたい神様のような扱いになっています。
そのためか周辺も、四谷怪談のお岩さんの墓近くだというのに、周囲にはおどろおどろしい雰囲気はありません。
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由緒に添付されている地図に従って、赤穂事件で有名な浅野内匠頭の正室瑤泉院の供養塔を回り込んで行くと、突き当たりがお岩様を始めとする田宮家代々の墓地となっています。
奥に位置する一際大きな墓がお岩様のお墓で、その周りには田宮家代々の墓が居並んでいます。
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奥にある五重塔がお岩さんのお墓です。
訪問時は線香が焚かれていて、恐ろしい雰囲気はなく、却って神妙な気持ちになりました。
周囲のたくさんの卒塔婆は、前述の祈りのために捧げられたものでしょうか。
江戸以降、怪談の怨霊として数多くの人々に怖れられてきたお岩さんの墓。
その墓は、西巣鴨の住宅地の中の墓地の一角で、今も信仰の対象になっています。
(訪問月2017年5月)