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葛飾区新宿に残る産業遺産、三菱製紙中川工場跡地を歩いてきました。
ちなみにここの新宿は「しんじゅく」ではなく「にいじゅく」と読みます。
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現在地はJR常磐線金町駅から北西へ徒歩10分の位置にある大学、東京理科大学葛飾キャンパスの構内です。
東京理科大学葛飾キャンパスは敷地を囲う塀がなく、誰でもキャンパスを歩くことができるようになっていて、キャンパス内にはちらほらと学生以外の姿を見ることができます。
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葛飾キャンパス管理棟の一階には『葛飾食堂』という学食があり、この学食は一般人にも開放されていて誰でも食べることができます。
散歩に来ている高齢者や家族連れが普通に学食で食べているので、半分フードコートのような雰囲気です。
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一般人も食べられるため客が多いのか、券売機も四台ある葛飾食堂。
学食なだけあって、コストパフォーマンスは良好です。
逆に繁盛しすぎているのか、訪問時は5つある定食のうちC、D、E定食はすでに売り切れていました。
選んで食べたいなら、早い時間に訪問した方がよさそうです。
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というわけで本日は残っていたB定食にしました。
鳥もも肉粒マスタード焼き定食470円。
特筆すべき味ではないものの、この量で470円は破格です。
連れて行った子供たちは嬉しそうにパスタを頬張っていました。
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葛飾食堂のお客さんは小さな子供が多かったです。
これは東京理科大学葛飾キャンパスの南側に、葛飾にいじゅくみらい公園という広大な原っぱの公園があるからです。
東京理科大学葛飾キャンパスと葛飾にいじゅくみらい公園は一体化しており、子供たちが公園で遊んだ後にここを訪れているものと思われます。
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葛飾食堂で食事後、葛飾にいじゅくみらい公園を訪問しました。
23区ではほとんど見られないような広い敷地の公園で、広々とした原っぱを子供たちはのびのびと走り回っていました。
金町は水元公園など、子供を遠慮なく遊ばせられる大きな公園に恵まれていますね。
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にいじゅくみらい公園の敷地内には、巨大な鉄球のような、茶褐色のモニュメントが置かれています。
こちらは『地球釜』と呼ばれる金町の産業遺産です。
現在の葛飾にいじゅくみらい公園や東京理科大学葛飾キャンパス、そして周辺の高層住宅等を含めた区域には、大正6(1917)から平成15(2003)年まで、三菱製紙中川工場という大規模な工場がありました。
この地球釜は、その三菱製紙中川工場内で使われていた、損紙を再生させるための機械です。
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地球釜脇に設置されている、地球釜の解説板。
解説板によれば、地球釜は釜の中に損紙と水を入れ、毎分一回転の速度で回転させながら蒸気を注入して蒸し、紙の繊維を解きほぐして再生原料を作り出す機器とのことです。
三菱製紙中川工場は平成15年3月をもって66年間の幕を閉じましたが、葛飾区の近代産業の幕開けを記念したものとしてこの地球釜を展示しています的なことが記載されています。
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葛飾にいじゅくみらい公園からさらに南へ、常磐線の線路方向へ歩いていくと、柵で囲まれた広い空き地が残っています。
三菱製紙中川工場跡地は東京理科大学と葛飾にいじゅくみらい公園の他、住友不動産やUR都市機構等が取得していますが、この空き地はUR都市機構が取得した用地のようです。
住友不動産が取得した用地はシティタワー金町やスーパーいなげや等が建っていますが、こちらは空き地のままです。
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この空き地の奥、常磐線の線路沿いに廃墟のような、古びた煉瓦造りの建物が二棟残っています。
この二棟の建物は三菱製紙中川工場内で使用されていた倉庫らしく、建造年月日はわかりませんが外観からおそらく、中川工場が竣工した大正時代からの倉庫と思料されます。
歴史的建造物かつ、貴重な産業遺産と言えるでしょう。
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しかしながら煉瓦倉庫は荒れるがままになっています。
フェンスの隙間から煉瓦倉庫の側面が見えますが、誰も管理する人はいないのか、横から入れそうな出入り口や窓はベニヤ板などで封鎖され、かつては工場内の通路であっただろう道は雑草が生い茂っています。
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常磐線の線路沿いに作られたコンクリート壁と煉瓦倉庫に挟まれた路地。
深夜にここを通ったら痴漢が出そうな感じの裏寂れた路地です。
空き地の向こうの葛飾にいじゅくみらい公園では子供たちが遊び回っていますが、ここは人通りもほとんどなく最果て感が漂っています。
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煉瓦倉庫の壁面に描かれた落書きと板で封鎖された窓が廃墟らしくて実にいい雰囲気を醸し出しています。
柵がなければなおさら良かったのに…
落書きの位置から考えて昔は柵などなかったと思われます。
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長い時間の経過を感じさせる煉瓦倉庫の煉瓦壁。
三菱製紙中川工場煉瓦倉庫の煉瓦はイギリス積みで積まれています。
ちなみにイギリス積みは、煉瓦を長手だけの段、小口だけの段と一段おきに積む方式です。
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ひび割れが目立つ煉瓦倉庫の壁面。
管理もされていないようで、再開発のために取り壊されるのも時間の問題かもしれません。
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第二次世界大戦期には、軍関係の地図用紙等の抄紙や新紙幣の抄造と旧紙幣の処理等も行っていたという三菱製紙中川工場。
今では雑草生い茂る再開発前の空き地に、取り残されたようにぽつんと二棟の煉瓦倉庫だけが残っているだけですが、この二棟だけが残されているのは、何か意味があるのでしょうか。
産業遺産としての歴史的価値でも建物の美観的にも、マンション開発で壊されるのは非常にもったいない建造物なので、なんとか保存されるといいのですが。
(訪問月2017年5月)