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北区栄町にある近代建築、東書文庫を娘とともに歩いてきました。
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現在地は都電荒川線の栄町停留場前です。
荒川線線路内には訪問日の数日前に降った大雪がまだ積もっています。
渋谷駅や品川駅等で入場制限を起こしたこの雪は東京都心で21cm積もったようで、東京都心で20cm以上の積雪が観測されたのは四年ぶりのことだったそうです。
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栄町停留場から北東へ約150m、徒歩二分ほど歩いたところに、独特の黄土色をした重厚感のある建物があります。
この建物は鉄筋コンクリート造り二階建てで、昭和11(1936)年6月25日に竣工した近代建築「東書文庫」です。
東書文庫は、日本で最初に設立された教科書図書館と言われています。
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東書文庫は日本の教科書を蒐集し保存することを目的として、東京書籍株式会社によって建造されました。
東書文庫開館当初、集められた資料は約5500点ばかりでしたが、戦後も収集は進み2015年8月の時点では、約15.5万点の資料が収蔵されているそうです。
電話による事前予約が必要ですが、収蔵資料の閲覧や出納といった一般利用ができます。
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東書文庫の塀には、東京都北区教育委員会が設置した解説板がついていました。
東書文庫の正式名称は東京書籍株式会社附設教科書図書館東書文庫といい、建物は平成11(1999)年に東京都北区指定有形文化財(建造物)となっています。
また平成19(2007)年には、経済産業省の近代化産業遺産(近代製紙業)に認定されたそうです。
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東書文庫の建物は建築当時の流行であったアール・デコ様式の影響を受けています。
写真左の丸窓や半円形に突き出た窓など、アール・デコ調の意匠が随所に見られます。
大正~昭和初期らしい昭和モダンな建物で、重厚感があって美しい。
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東書文庫の塀や門、守衛所、図書館の外壁には、大正末期から昭和10年前後のRC造建物に多く使われたタイルが外装材として貼られています。
関東大震災を経て、明治時代の煉瓦造りから無機質な鉄筋コンクリート造りへと変わっていった大正・昭和初期の建物の外壁には、タイル貼りが流行しました。
東書文庫のタイルは、櫛で引っかいたような縦に細い溝の模様があるスクラッチタイルです。
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東書文庫の門には「東書文庫」と記された表札がかかっています。
この表札は、明治から昭和にかけて洋画や書道の世界で活躍した中村不折の揮毫であるという。
味わいのある表札ですね。
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東書文庫の門は、開館時間ならば開け放たれています。
門を通ると、右手に守衛所がありました。
図書館は一般に開放されているからでしょうか、守衛さんは誰も詰めていないようでした。
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玄関の庇を支えるアールデコ調の二本の円柱が特徴的な、東書文庫の玄関正面。
帝都は戦争による空襲で焼かれるまで、こうした昭和モダンな建物に彩られ、美しい街並みがあったという。
東書文庫は北区が火の海になった昭和20(1945)年4月13日の城北大空襲でも被災せず残り、今も日本の教科書を蒐集・保存しています。
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東書文庫から道を挟んだ向かい側は、一階はコーナン王子船掘店、二階がジョーシン王子店という大型店舗になっています。
幹線道路沿いでもない下町の住宅街に昨年6月オープンしたこの大型店舗ですが、もともとの敷地は株式会社リーブルテックの印刷工場でした。
この株式会社リーブルテックというのは東京書籍の関連子会社で、2009年11月に社名変更するまで東京書籍印刷株式会社という社名だった印刷会社です。
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グーグルマップに、まだコーナン王子船堀店・ジョーシン王子店が建っておらず、リーブルテックの印刷工場が建っている航空写真が残っていました。
左手の三つ並んだカマボコ型の工場が、書籍の印刷工場であったという。
東書文庫と同時期に建てられたというカマボコ型工場は、当時の先進的技法だったダイヤモンドトラス構造の天井をもち、柱のない広々とした空間が確保されていたそうです。
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またカマボコ型工場の右手には、東書文庫と同じスクラッチタイル貼りの事務棟が見えます。
この事務棟も、東京都北区指定有形文化財(建造物)になっていたそうですが、取り壊されてしまいました。
北区有形文化財に指定されていても、必要がなくなれば取り壊されてしまうんですね…。
残念です。
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リーブルテック印刷工場跡地に建てられたホームセンターコーナン王子船堀店に入ってみました。
印刷工場跡地に建てられただけあって、広々とした店舗です。
店舗内にはペットショップやアクアリウムなどもあって、見ているだけでも楽しい。
娘はアクアリウムの金魚コーナーが気に入ったようで、水槽にずっと張り付いていました。
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「たいやき!」
ホームセンター前にはたい焼き屋の出店もありました。
ちょうどお昼時です。
クリームがいいのかあんこがいいのか娘に聞いたところ、「たい焼きがいい!」と主張していました。
口は回るようになりましたが、まだ難しいことはわかりません。
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第二次世界大戦の敗北によって軍国主義国家・大日本帝国が滅び、民主主義国家として生まれ変わった日本。
多数決がものを言う民主主義において、日本が近隣諸国より発展し、先進国でいられるのは国民一人一人の教育の賜物です。
その教育の基本である教科書を蒐集保存し、後世に伝えた東書文庫は、日本の発展に大きな役割を果たしたといえるでしょう。
(訪問月2018年1月)