【今回の記事は、特に虫が苦手な方は閲覧を注意してください】
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墨田区押上の東京ソラマチで開催された『キモい展2』に子供たちと行ってきました。
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キモい展2は、世界中の気持ち悪い?生き物を集めた展覧会です。
制作協力は周南市徳山動物園という、山口県の動物園です。
6月6日から7月15日まで東京ソラマチのスペース634で開催されています。
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気持ち悪い生き物ということで、展示されている生物は虫が多めとなっています。
こちらはアフリカ南西部に生息するという、体長が30cm以上にもなる世界最大級のヤスデ「アフリカオオヤスデ」。
サンシャイン水族館の猛毒展痛にいたタンザニアオオヤスデに酷似した、いかにも毒をもっていそうな恐ろしげな外観をしていますね。
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キモい展2展示場に入って早々にある、大量のツヤケシオオゴミムシダマシの幼虫に、ミミズがいっぱいだと驚く子供たち。
ツヤケシオオゴミムシダマシの幼虫はジャイアントミールワームの名前で小鳥や熱帯魚の餌として広く流通しています。
ただ栄養価はカロリーこそ高いものの栄養バランスが良好とは言えないため、おやつのような位置づけになっているそうです。
なんだか納豆のような臭いがしました。
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こちらは万歳をしているような姿のまま戦車に轢かれたようにぺったんこになっているコモリガエルの一群。
ちなみに太平洋戦争において、もともと兵站確保の能力に乏しかった日本軍は、広大な太平洋に広がった各戦線において慢性的な糧秣・食糧不足に悩まされました。
このため各戦線の日本軍将兵は、カエル、トカゲ、ムカデ、クモ、セミ、コオロギなどゲテモノでも食べられそうなものはなんでも口に入れ、それができなかった兵は栄養失調で次々と倒れていったという。
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こちらは、そんな日本軍が戦っていた南方・インドネシアの言葉で、ヤシの実の意を持つカラッパから名づけられたカニ、トラフカラッパ。なるほどヤシの実に似ていますね。
ちなみにヤシの木は熱帯地域に分布する植物ですが、高木で実が地上から40メートルほどの高さになるため、栄養失調や病気で弱った日本兵は採取が大変だったそうです。
代わりにジャングルに慣れた台湾の高砂義勇兵が木に登ってヤシの実を取り、病気の日本兵に解熱剤として飲ませていたという。
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キモいかどうかはさておいて、ピラニアもキモい展2に展示されていました。
補給の少ない南方戦線において、現地の魚も日本兵の重要な食糧でした。
戦中、陸軍二等兵としてニューブリテン島に駐留していた水木しげるさんは、その戦争体験記「総員玉砕せよ!」において、手榴弾を使って魚を獲る日本兵の姿を描いています。
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こちらは日本軍が南方作戦で占領したマレーシアの標高の高い地域に生息するマレーシアンチェリーレッドムカデ。
栄養不足の日本兵はよくムカデを捕まえて食べていたと言われていますが、日本兵は敵の攻撃で大きなダメージを負ってもなかなか諦めず、虫のようにしぶといと連合軍から怖れられていました。
しかし我慢強い日本軍将兵も飢餓地獄には勝つことができず、アジア・太平洋戦争中の日本軍全体の戦死者230万人のうち、約60パーセントに当たる140万人が飢餓からくる戦病死だったと言われています。
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こちらは熱帯や亜熱帯の森の地表で生活をしているフェザーテイルムカデの仲間。
尾の先端部分に、外敵に襲われた時や威嚇する時に使われるフェザーと呼ばれる羽状の曳航肢を持っているのが特徴です。
熱帯地域の森のムカデということで、南方戦線の日本兵はこうしたムカデを生き残るために食べていたものと思われます。ちなみにムカデは、当時を体験した元兵士によると油っこい味だったとか。
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展示の最後は、トルキスタンゴキブリとゴキブリタワーです。
トルキスタンゴキブリは爆発的な繁殖力と強力な生命力で、怖ろしいスピードで増殖するゴキブリです。
タワーにはびっしりとゴキブリが張り付き、中には幼虫や卵もありゴキブリの繁殖サイクルがよくわかります。
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タワー下には生存競争に負け、同じ仲間のゴキブリによって食われてしまったであろうゴキブリの残骸が落ちていました。
太平洋戦争中、餓島と呼ばれたガダルカナル島や戦争末期のフィリピンといった極限の戦場では、日本兵が仲間の日本兵の肉を食べる共食いが見られたという。
フィリピンのレイテ島で戦った小説家・大岡昇平の著作「野火」では、敗残の日本兵が生き残るために同じ日本兵を狩り、その肉を食べる様子が書かれています。
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展示生物をすべて見終わると、最後にはお土産コーナーが待っています。
お土産コーナーではバッタ、コオロギ、サソリ、タガメ、タランチュラなどの昆虫食品のコーナーがありました。
食べ物のなかった日本兵が「栄養食」として手まめに食べ、その命を救っていたという昆虫食。
意外と美味らしく、割と売れているそうです。
(訪問月2019年6月)