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中野区中野5の55番街にある、ホテルワールド会館を見学してきました。
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中野駅直近にある中野ブロードウェイを訪問したときのことです。
中野ブロードウェイは地上10階、地下1階の複合商業ビルで、2~4階には、まんだらけを代表とするアニメ系オタ向けの店が多いことからサブカルの聖地などと呼ばれています。
いったいどんなところなのだろうかと思って訪問してみたのですが、物凄い量のフィギュアやアニメセル画等が高値で売られていて思った以上にオタ度が高かったです。
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まあ正直、アニメ副産物にはあまり興味を惹かれなかったので、地下でアイス食ったり貴金属店でアクセサリを買ったくらいで撤退することとなりました。
しかし、中野ブロードウェイそのものには興味を惹かれなかったのですが、その周辺にあった昭和な飲み屋街がいい雰囲気だったのでちょっぴり周辺を散策。
まだ飲み屋が営業していない昼間帯のためか、賑やかな中野ブロードウェイに隣接する区画だというのに、人通りがまったくなく荒涼とした雰囲気です。
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その中に、これはもう廃墟なんじゃないだろうかと見紛うようなビルがありました。
名前は、「ホテルワールド会館」。
六角形になっている外階段が特徴的で、猥雑な店舗看板とボロさも際立つ昭和末期らしい建物です。
このホテルワールド会館、「中野の九龍城」などとしてB級スポット巡りサイトなどで紹介されることのある、そういうのが好きなマイノリティにはメジャーな物件。
マイナーメジャーといったところで、サブカルの街中野には「らしい」ビルかもしれません。
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ビルの前には、中で営業しているお店の看板があるものの、その手前に放置自転車が山積みになっていました。
ただ置かれているだけならまだしも、自転車の上にさらに自転車が積み上げられているので、これはもうただの放置でなく、ここが半ばゴミ捨て場と化しているのがわかります。
奥の自販機なんかはとても買えそうにありませんが、定期点検とかはどうなっているのだろう。
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大量に打ち捨てられた自転車と、まったく人通りのないホテルワールド会館前路上。
ホテルワールド会館は現役のビルですが、周囲の状況と照らし合わせていかにも廃墟らしくなっています。
さっきまで歩いていたすぐ隣の、人通りの多かった中野ブロードウェイを思い返すと、突然異世界に迷い込んでしまったような、そんな錯覚を覚えました。
おや、そんな異世界の中でも、猫だけはいつもどこかからこっそりとこちらを覗いていますね。
異世界に猫はつきものですな。
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ここホテルワールド会館は、もともとはホテルとして造られた物件のようですが、現在ではサブカルの街中野らしい個性的なバーが複数入っている雑居ビルになっています。
こちらは1階にある特撮バー「空想科学」。
昔の特撮を見ながら酒が飲めるバーらしいですが、営業時間外のためどんなバーなのか詳細不明。
この他にも、アニソンカラオケバーやジョジョ風バー「DIO」など、サブカルチャーをテーマにしたバーが入っています。
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昼間の時間帯ですがせっかくなのでホテルワールド会館内部に入ってみます。
階段で上がれるのは二階までで、三階以上は柵があって侵入禁止になっていました。
階段はところどころに損壊があり、現役ビルなのにやはり廃墟っぽいです。
エレベーターもあるにはありましたが、乗ったら確実に異世界に連れて行かれそうな様相で、すでに動きを止めていました。
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二階に上がると、階段の踊り場には独特の臭いが漂っていました。
むむっこれは……死臭というか、死体が腐乱しはじめたときに出る臭いと思われます。
あ、これはやばい。見つけてはいけないものを見つけたらどうしよう。



いや違う。
これは線香の匂いですね。
どっちも同じような臭いだから瞬間的に混同してしまいました。
あの線香ってのは、死臭を誤魔化すために作り出されたものなのかもしれません。
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匂いを辿っていくと、発生源はここのようでした「坊主バー」。
現役(?)の僧侶が経営しているバーで、坊主に人生相談とかをしながら酒が飲めるところらしいです。
知る人ぞ知る店らしく、私もテレビか何かで紹介されているのを見たことがあります。
しかしながらまだ時間が早いため、営業時間外のようでした。
時間外でも線香だけは焚いているのか、それとも場に匂いが染み付いているのか。
この場末のような建物の中で、死臭を嗅ぎながら坊主に人生相談するというのは貴重な体験ですね。
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ホテルワールド会館の階段から見下ろす中野の街。
すぐ隣にある中野ブロードウェイはあんなに賑わっていたというのに、こちらは時間外とはいえ人っ子一人いないというのは対照的で非常に興味深い。
このホテルワールド会館は中野ブロードウェイよりも古い建物らしいですが、中野ブロードウェイが中野駅と早稲田通りを直線で結んでしまったために、向こうに人通りが流れてしまったそうです。
線香の匂いを嗅ぎながらこの光景を見ていると、自分だけ世界から取り残された感が出てきて寂しくなったので、そそくさとビルを撤退しました。
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正面から見ると、廃墟特有の威圧感が半端ないホテルワールド会館。
夜はそれなりに賑わっているのでしょうが、昼間に見るこの姿のほうがなんともいえない寂寥感があっていいかもしれません。
ところで屋上に見える飛び込み台のような足場はなんでしょうか。
あの先にはどう考えてもあっち側の世界しかなさそうなんですけどね。
(訪問月2016年1月)