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豊島区東池袋の水族館、サンシャイン水族館を歩いてきました。
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学生が夏休みに入る直前の時期に、子供たちを連れてサンシャイン水族館に行ってきました。
私は初めてサンシャイン水族館に行きましたが、平日の昼間だというのに水族館は結構な人だかりでびっくりしました。
特に外国人が多かったのが印象的でした。
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展示されている魚は多種多様ですが、沖縄美ら海水族館鴨川シーワールド等に比べ巨大な生物は少ないです。
サンシャインシティ内のワールドインポートマート最上階ということもあって、あまり大きい生物は無理らしいです。
写真はパシフィックシーネットルという世界最大級のクラゲと、それを眺める子供たちです。
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しかしながらマンボウやタカアシガニなど様々な水生生物の展示に子供たちは大喜びでした。
特にまだ2歳にもならない、いつもぽやんとしている息子がはしゃいでいたのが驚きです。
真夏のうだるような暑さの中、人ごみの池袋まで足を運びましたが、楽しそうな子供たちを見て来て良かったなと思いました。
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さて、この日は水族館反対側で特別展「猛毒展痛(2)」をやっていました。
猛毒展痛は、2014年夏にサンシャイン水族館で開催された毒毒毒毒毒毒毒毒毒展(もうどく展)の第二回バージョンです。
怖いもの見たさというものでしょうか、毒のある生物というものをちょっと見たくなってこちらも訪問しました。
猛毒展痛の入場料は600円ですが、サンシャイン水族館とセットだと400円になります。
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猛毒展痛の展示場は四つのゾーンに分かれています。
最初は「魔女の毒薬調合室~防御するための毒をもつ生物~」のゾーンです。
ゾーン1は魔女の毒薬調合室らしく、壁に実験で使われるような薬瓶や本が描かれています。
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展示生物の隣に説明板があり、レベル1からレベル5まで、当該生物の毒の強さが表記されています。
毒の種類は様々で、成分に応じてタンパク毒やアルカロイドなどに分かれ、症状に応じて出血毒や神経毒が知られています。
「毒」とは要するに、生物にとって不都合な作用をもたらす化学物質の総称で、刺されたり、咬まれたり、食べたり、触れたりした際に、生命や健康に害をもたらすものすべてです。
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入り口正面の水槽にはポルカドットスティングレイの仲間が展示されていました。
「仲間」となっているのは、この個体が交雑種の可能性があるかららしいです。
ポルカドットスティングレイは黒地に白い斑点が特徴的な淡水に棲むエイで、尾に毒針を持っています。
その毒レベルは4で成分はタンパク毒、刺されると痛み、腫れ、めまい、呼吸困難や痙攣を起こすという。
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ファイアーサラマンダー。
名前がかっこいいですね。
本種は黒地に、警戒色といわれる鮮やかな黄色の斑点を持つイモリの仲間で、敵に襲われた時筋肉を収縮させ、胴体の毒腺から秒速3mで毒を吹き出し、外敵から身を守ります。
毒レベルは4、毒の種類は神経毒で、触れると痙攣や呼吸困難を起こすとされています。
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チョウセンスズカエル。
背の色は緑に黒色の斑点があり、腹は赤と黒の斑模様のカエルです。
外敵に襲われると、派手な腹模様を見せて威嚇するとのこと。
毒成分については詳しくわかっていないため、毒レベルについては不明です。
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ヤスデ界の王様、タンザニアオオヤスデ。
毒レベルは2と、展示生物の間では毒性が弱いですが、宇宙からやってきたのかと思うほど禍々しいフォルムです。
何故だろうか、毒虫というのは総じて見た目がキモイですね。
しかし恐ろしげな外見に反して、タンザニアオオヤスデは落ち葉やきのこ、動物の死骸を食べる森の掃除屋です。
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ペルビアンジャイアントオオムカデ。
最大で40cmを超える世界最大のムカデで、獰猛で攻撃性が高く昆虫類はもちろん小型の蛇まで食べるそうです。
プラスチックも噛み千切るほどの顎の強さで咬みつき、毒を注入、その傷口は壊死します。
おっかないですね。これのどこが「防御するための毒」なんだろう。
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続いてゾーン2「マッドサイエンティストの研究室~毒を利活用する生物~」です。
まあ利活用とは言いますが、ほとんどの毒持ち生物は自己防衛のために毒をもっているので、ゾーン1と何かが違うわけではありません。
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温暖地域の海の底に棲む肉食魚、オニオコゼ。
ヒレの棘に猛毒をもつ魚で、その棘は太く強く、厚手のゴムを貫通するほどです。
毒レベルは4で、刺されるとただちに激痛があり、時には耐え難い痛みが数日続くという。
オニオコゼ自体は白身で美味なので、刺身や吸い物など食用にされます。
食われまいとする防衛のための毒ですね。
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体内にシガテラ毒をもつ(かもしれない)バラハタ。
2016年4月、築地市場で高級食材「スジアラ」と間違えられて販売されてしまったことで有名になった毒魚です。
シガテラ毒は煮る、焼く等の処理をしても分解されないため、食べてしまうと吐き気、目眩、下痢などの中毒症状を起こします。
毒レベルは3と、食べても死ぬレベルではないようです。
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コバルトブルータランチュラ。
タランチュラは猛毒グモのイメージが強いですが、毒レベルは2と毒性はさほど強くなく、性格もおとなしく滅多に人を咬まないし、咬まれても死亡することはほとんどありません。
小さな土管の中に身体を丸めて隠れている姿がなんだかかわいらしい。
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ひっくり返って、股関丸出しで爆睡していたシマスカンク。
北米に棲むシマスカンクは肛門の辺りに臭腺があり、敵に襲われるとここから強い匂いを発する毒液を噴射して撃退します。
毒液には視覚や嗅覚を一時的に麻痺させる効果があり、時には失明させるという。
ところでシマスカンクって、こんな風に寝るんですかね。
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シマスカンク展示室の隣に、シマスカンクの毒液の匂いを嗅げるコーナーがありました。
当然嗅いでみましたが、液は薄めてあるようで、それほどの刺激臭はありません。
例えて言うならニンニクのような匂いでした。
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猛毒展の終盤であるゾーン3は「レッドゾーン~死亡例のある生物~」です。
ゾーン3では日本最大の猛毒蛇として知られるハブの剥製が展示されています。
沖縄ではハブに咬まれることを「ハブに打たれる」といい、その通り攻撃は一瞬で、口を開くと同時に毒牙が立ち上がります。
沖縄の山道でこいつに会ったときは肝を冷やしました。
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しかし本当に強い毒を持つのはウミヘビです。
沖縄沿岸のサンゴ礁などに棲むエラブウミヘビはエラブトキシンという神経毒をもち、その毒はハブの70倍から80倍の強さです。
ゾーン3にはエラブウミヘビを燻製にしたものを触れるコーナーがあります。
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またゾーン3の中には、ゾーン4「最強クラス~超危険生物~」のコーナーがあります。
7月1日から追加展示されているコーナーのようで、「パラポネラ(サシハリアリ)」「ウキレオウギガニ」「ツムギハゼ」の三種の毒生物が展示されています。
いずれも致死レベルは5で、食べたりすると死にます。
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その一種、ツムギハゼ。
ハゼの仲間では珍しく、筋肉にフグ毒で知られるテトロドトキシンを宿しています。
その毒は有名な青酸カリの約1000倍の強さをもつ神経毒です。
天ぷらにすると大変おいしいマハゼと形が似ていることから、ハゼ釣りをしたときはうっかり間違えないよう注意が必要です。
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これまでの毒々しい見た目の毒生物と違い、一見して毒持ちとわからない外見をしているというツムギハゼ。
加えて、身近にいる可能性も他に比べて非常に高い生物です。
それなのに最強の毒持ちとは…
ちなみに我が家の親族にも、ハゼを近くの川で釣ってきて天ぷらをごちそうしてくれる方がいます。
次からは注意しないといけませんね。
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最近では大井埠頭で「殺人アリ」と呼ばれるヒアリが見つかるなど、帝都にいても毒持ち生物とは無関係でいられません。
毒持ち生物についてよく知り、その習性や毒の症状などを学ぶことは、毒の被害をなくす可能性を高めることにとても役立ちます。
毒生物を知り、毒に親しむ第一歩として、サンシャイン水族館の猛毒展痛に行ってみてはいかがでしょうか。
(訪問月2017年7月)