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台東区上野公園にある回遊式庭苑、上野東照宮ぼたん苑を歩いてきました。
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上野東照宮の敷地内に、昭和55(1980)年4月に開苑した上野東照宮ぼたん苑。
回遊形式の庭園には、冬場は40品種200株の牡丹が栽培されているという。
入苑が一般700円と有料なため、人でいっぱいな上野公園内にもかかわらず人気は少なく、のんびりと様々な牡丹を観賞することができました。
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上から「聖代」「島大臣」「八千代椿」「七福神」「八重桜」という名の牡丹。
霜よけの藁囲いの下に咲いた、可憐かつ巨大な牡丹の花を見ることができました。
これら「冬ぼたん」は、春と夏に開花を抑制し、秋に温度調節して冬に開花させるという特殊な栽培の技術が用いられ、冬場に花を咲かせています。
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回遊式庭苑のちょうどの真ん中に、俳句所があります。
ぼたん苑ではところどころに、冬ぼたん2つに1つくらいの割合で俳句を記した立札が立ててありました。
この俳句所では来訪者も俳句を作って、右手の掲示板に奉納できるようになっています。
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俳句ではないですが、気になったのをピックアップしてみました。
いずれも外国人観光客の手によるものと思われますが、絵のうまさに驚きました。
ここにある簡易的な台とボールペンで、これを描いたのでしょうか。凄いですね。
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カリフラワーに似ているなと思ったハボタンも咲いていました。
ハボタンはまたの名を花キャベツといい、アブラナ科の植物です。
葉を牡丹の花に見立ててこういう名前になっていますが、キャベツと同種なので食べることもできるという。
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ぼたん苑のラストは、売店があるお休み処と、その隣に日本庭園があります。
ぼたん苑内にはヨーロッパとかそちらの方からきてそうな外国人観光客の姿もありました。
上野公園はとりわけ外国人観光客が多いですが、公園内でも特にこういう日本的な所は、好きな方が多いのではと思われます。
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ぼたん苑の出口を出ると、上野東照宮参道の先に千羽鶴がたくさんかかったモニュメントが見えました。
ほとんどの人はこのモニュメントに目をくれることなく、派手な上野東照宮の社殿の方に通り過ぎていきます。
しかし千羽鶴が珍しかったのか、欧米系と思われる外国人観光客が足を止めていました。
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このモニュメントは「広島・長崎の火」を宿すモニュメントです。
昭和20(1945)年8月6日太平洋戦争末期、アメリカ軍によって広島に原子爆弾「リトルボーイ」が投下されました。
その惨禍を生き抜いた福岡県星野村の山本龍雄さんは、叔父の家の廃墟に燃える火を故郷に持ち帰り、初めは形見の火、そして恨みの火として灯し続けました。
しかし長い年月が経った現在では、核兵器を失くし平和を願う火として星野村に灯されており、被爆から45年後の1990年、この火が長崎の原爆瓦から採った火と合わされて、上野東照宮境内のこのモニュメント内に「広島・長崎の火」として灯されることとなったという。
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平和の象徴といわれる鳩の像の中に、小さな火が揺れています。
吹けば消し飛んでしまいそうな、本当に小さな火です。
今にも消えそうに見える広島・長崎の火は、自分たちを絶滅させることのできる核兵器をいまだ廃棄できない、愚かな我々人類の運命の灯のようにも見えました。
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太平洋戦争末期、投下された二つの原子爆弾は数十万人の命を殺し、今なお多くの被爆者を苦しめています。
その悲劇の歴史は、今や核ミサイルのボタンたったひとつによって簡単に再現されてしまいます。
そのボタンがどこかで押される日が来ないよう、常に自分たちの教養や見識を磨き、挑発や煽動にのせられることがないようにしなければなりませんね。
上野東照宮ぼたん苑の冬ぼたんが見れるのは2月24日までです。
(訪問月2019年2月)