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愛知県名古屋市西区にある庭園、ノリタケの森を歩いてきました。
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高級陶磁器・砥石メーカーノリタケカンパニーリミテドの工場跡地にできたノリタケの森に、子供たちを連れてやってきました。
訪問したのはクリスマス時期で、庭園にはサンタクロースのオブジェが置かれクリスマスのイルミネーションが色とりどりの灯りを放っていました。
我が家では毎年、クリスマス時期になるとこうしたイルミネーションを見にきています。
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クリスマスの雰囲気に染まる若いカップルや子供連れファミリーで賑わう夜のノリタケの森。
ノリタケカンパニーリミテドの前身である明治37(1904)年創業の日本陶器合名会社は、ここ名古屋市西区に工場・本社を建設して食器の生産を行っていました。
ノリタケの森には、かつて食器生産の工場として使用されていた建造物が産業遺産・モニュメントとして残されています。
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イルミネーションにあわせてライトアップされた、明治37(1904)年日本陶器合名会社(ノリタケ)創業期に建造された赤レンガ棟。
赤レンガ棟は陶器用の原土を精製した旧製土工場で、工場としては昭和50(1975)年まで稼働していたという。
日本陶器合名会社を創業した森村市左衛門ら6名が署名した宣言文が埋められるなど、当時の思いが込められた貴重な産業遺産です。
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赤レンガ棟の外壁は、イギリス積みの系統だというオランダ積み工法で構築されています。
レンガは幕末から輸入され始め、さらに明治になると国内でも生産されるようになり、この時代の多くの建物に使用されました。
当時耐火性のあったレンガ造りの建築物は、文明開化の象徴的な存在だったという。
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こちらもレンガ造りの、窯の上に煙突を立てた古い単独窯のモニュメント。
明治37(1904)年に創業したノリタケの窯は、丸窯の上に煙突を立てた第一号窯から始まり、様々な形の窯が改良を重ねながら作られ、これはそのうちのひとつだそうです。
ちなみに現在の窯は、煙突のない環境に優しいトンネル窯になっているとのことです。
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こちらは色とりどりのイルミネーションで飾りつけられた煙突のモニュメント。
この巨大な煙突モニュメントは、昭和8(1933)年工場大改造時に建造された陶磁器焼成用トンネル窯の煙突の跡です。
途中で切られてしまったものの、当時この大煙突は45メートルの高さで、テレビ塔が建てられるまでは名古屋城と並ぶ最も高い建造物のひとつだったそうです。
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当時は年間550万個の「ノリタケチャイナ」を焼成していたというトンネル窯。
素地中に牛の骨配を配合し、酸化炎で焼成するボーンチャイナは18世紀にイギリスで発明されたもので、日本ではこの煙突が建造された昭和8(1933)年にノリタケが初めて完成させました。
ノリタケによるボーンチャイナの製造は昭和10(1935)年に始まり、昭和13(1938)年頃にはノリタケのボーンチャイナ製ティーセット等が北米等に大量に輸出されています。
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戦前の大日本帝国において、洋風の生活は一部の限られた人々のもので、ノリタケで作られた食器のほとんどは輸出用でした。
第二次世界大戦によってそれまで食器の主な輸出先だったアメリカ合衆国へ輸出できなくなり、さらに昭和18(1943)年太平洋戦争の激化に伴って食器の生産は中止に追い込まれてしまいました。
しかしノリタケのボーンチャイナ専門工場は、大日本帝国政府から技術保存工場としての指定を受けて戦時中も製造が続けられ、その技術は戦後へと引き継がれています。
(訪問月2019年12月)