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山梨県南都留郡鳴沢村の景勝地、富岳風穴・鳴沢氷穴を歩いてきました。
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竜ヶ岩洞関ケ原鍾乳洞と旅行してすっかり洞窟好きになった子供たちを連れ、青木ヶ原樹海にある溶岩洞窟、富岳風穴に入ってきました。
富士山麓、青木ヶ原樹海内には風穴や氷穴と呼ばれる溶岩洞窟が無数に散在します。
富岳風穴はそれら無数の風穴の中で最大の風穴で、南北に走る110mの主洞と東西に走る110mの間道からなっており、幅4~7m、高さ20mの規模を持つ大きなものです。
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富岳風穴内に入ると、いきなり左手に氷が敷き詰められた氷柱の空間があります。
風穴の洞底には水が溜まるようになっており、これが冬季に結氷して氷の柱を作り、そのまま夏を過ぎることも少なくないという。
そのため洞内の温度も平均3℃と、普通の洞窟に比べて通年で寒い洞窟になっています。
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氷柱の空間の先は、溶岩棚や溶岩鍾乳石がある空洞になっています。
平安時代に富士山が噴火した際に、溶岩流が流れ込んでできたと言われる富岳風穴。
流れ込んだ溶岩流の外部が冷えて固まった後に、内側の熱い溶岩やガスが圧力で外へ噴き出したためにこのような空洞ができたという。
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富岳風穴で立ち入り可能区域の終端は旧蚕種貯蔵庫で、ここには密封した缶の中に入ったスギ、ヒノキ、ナラ、アカマツ、カラマツなどの種が保管されています。
富士山の火山活動により噴出した溶岩流の末端付近に形成された溶岩洞窟は、年間を通して低温で一定の温度を保持する環境になります。
富岳風穴ではこの洞窟環境を利用して、昭和30年ころから昭和40年ころまで養蚕や樹木種子の保管を目的とした産業的利用が行われてきました。
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富岳風穴の見学後は、近くに位置する鳴沢氷穴へと移動しました。
鳴沢氷穴はなだらかで歩きやすい横穴だった富岳風穴より難易度が高いので入洞には注意が必要です。
鳴沢氷穴は竪穴式環状型の洞窟で、地下21mまで下るため下りは91段、登りは101段の階段を昇降し、途中高さ91cmの溶岩トンネルを5m進むなど難所が多く3歳未満の子供は入洞できません。
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写真は鳴沢氷穴内にある竪穴「地獄穴」です。
一度足場を失うものなら二度と帰ることはできないという危険な穴で、どこまで続いているか確かめられていないものの、伝説では江の島まで続いているらしいです。
そういえば江ノ島の江ノ島岩屋を訪問した際に、「富士山まで繋がっている」という話がありましたね。
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91段の階段を下った先は、ブロック状に積み上げられた氷の壁が続く溶岩洞窟になっています。
この氷の壁は、触ると崩れるおそれがあるので触るなと入洞の際に注意されます。
氷穴天然のものかと思いきや、この氷は外部から持ち込まれた人工の氷だそうです。
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鳴沢氷穴のラストでは、天井から染み出した水滴が落ちて凍り、高く積み上がった氷の柱を見ることができます。
先ほどのブロック状の氷と違い、こちらの氷柱は鳴沢氷穴が作った天然のものです。
昔は氷穴内の氷はすべて天然のものでしたが、地球温暖化等の影響で今や天然の氷はここにあるものだけだそうです。
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観光客がまだ少なかった頃はもっと洞内に氷が多く、観光客の途絶えた太平洋戦争中は洞窟入り口付近まで氷で埋まり出入りできなかったという。
敗戦後、進駐軍の命により氷を切り出し、また洞内入り口には踊り場が設けられて進駐軍のダンスホールとして利用されたんだとか。
いったいどんなダンスホールだったんでしょうね。
(訪問月2020年6月)